おそらく、全体の7割の美容室では、最初に髪の毛を濡らして、ウェット状態で、
カットするヴィダルサッスーン流のブラントカットを行っています。
手順はこうです。
1)まず、髪の毛を濡らしします。
2)ブロッキンクをします。
3)コームでとかし、髪の毛をブラントカット(直線に切ること)します。
4)カット終了したら、ブラシをしようして、ブロードライします。
しかし、この「サッスーンメソッド」には、大きな落とし穴があります。
「髪の毛のくせ」を無視しているのです。
1960年代~1980年代までは、毎日シャンプーをする習慣がありませんでした。
洗髪は、せいぜい週2~3回。
ですから、裕福な女性は、”家で髪の毛を洗う習慣がなかった。”
美容室に”シャンプー&ブロー”に通っていました。
ところが、1980年代の後半くらいから、”朝シャン”と称して、毎日髪の毛を洗う習慣になりました。
当時のヘアカットは、サッスーン一色でしたので、人々は、髪の毛を洗う度に、
ブラシを使った”ブロードライ”をしなければ、ヘアスタイルが決まらなかった。
その結果、ドライヤー+ブラシの ”くるくるドライヤー” が流行しました。
その後、1996年頃、アムロレイヤー(シャギー)の流行により、今まで、”まっすぐにそろえる”ことが正解だったヘアカットが、「毛先をそろえない」スタイルに移行していった。
その流れで、髪の毛を乾いたままカットする「ドライカット」が登場する。
ドライカットは、最初に”髪の毛のくせ”を見て、彫刻のようにカットするので、ナチュラルドライ(ブローをしない)でも、スタイルが決まる。
ただし、サッスーンメソッドが、 ”髪の毛をそろえる” のに対して、
目的が真逆のドライカットは、 ”髪の毛をそろえない” ので、切る美容師のセンスが問われることになります。
ドライカットの手順
1)乾いた髪の毛の”生え方” ”くせ” をチェックします。
2)サッスーンが 髪の毛に対して垂直(横)にハサミを入れる(線でカット)するのに対して、ドライカットは、斜めもしくはタテにハサミを入れます(点でカット)。
くせ毛は、そのままを生かして、彫刻や盆栽を行うように、髪の毛の「なじみ方」を見てカットしていきます。カットの9割は、この時点で完成です。
3)一度、シャンプーして、ブラシを使わずに、ナチュラルドライします。
こうすることで髪の毛同士がなじみやすくなり、乾かしただけで、まとまるスタイルに。
結果的に、お客様は、サロンでの仕上がりと、ご自身でドライした際の仕上がりの
がギャップ(差)がなくなります。
再現性が高いヘアスタイルを提供(お持ち帰り)出来るのです。
サッスーンは、
「髪の毛が、伸びて、そろっていなかったので、そろえておきました。」
に対して、
ドライカットは、
「髪の毛が、伸びて、重くなったので、バランス良く、軽く見えるように散らしておきました。」
となり、
サッスーン方式でヘアカットする=ブロードライが必要
ドライカットでヘアカットする=手ぐしorナチュラルドライでOK
日本人の約8割は、少なからず、”くせ毛”です。
クセ毛を生かしたいならば、、決して ”濡らしてカット” するべきではないのです。